ここ最近、バス釣りのレンタルボートで思うような釣果が出ず、上記のようなことで悩んでいた。
そんなときにタイミングよく発売された、折金一樹氏の著書「オリキン式 バス釣りを能率化する68のメソッド」。
「この書にはシークレットなテクニックやパターン、スペシャルなルアーの話は残念ながら載っていません」というフレーズに惹かれ、実際に購入して読んでみた。
「確率論」を実際のメジャーフィールドでやってみた感想は「【釣行記】津久井湖釣行。今後のバス釣り人生を左右する重大なことを発見したかもしれない/ オリキンの「確率論」を試してみた / フィネスの釣りで感じた「津久井湖ブームの残骸」」で読むことができます。
もくじ
【ブックレビュー】折金一樹「バス釣りを能率化する68のメソッド」
全体的な内容
折金一樹「オリキン式 バス釣りを能率化する68のメソッド」は、確率論、能率的な考えかたが解説されている本だ。
「バスの数と反応を意識して確率を考える」や「2/10と2/5では、前者のほうが有利」などの理論が展開されており、理系なスタンスで書かれている。
また、折金氏の体験談をもとにしたブラックバスの生態学や、シーズナルなアプローチも解説。
『知るべきセオリー、無視していいセオリー』と題して、「まずはパイロットルアーで探る」という定説を叩き切っていたりするなど、オリキン節が満載だ。
さらに、著者のホームレイクである亀山ダムを例にあげ、シーズナルなアプローチがわかりやすく解説されている。レンタルボーターなら必見の内容となっている。
後半にかけては、ロッド、リール、ルアー、ラインとフックの関係や選びかたなど、折金氏のタックル論が書かれている。
それぞれのルアーの特徴を「1:存在感、2:連続性、3:不規則性、4:アクションの強さ、5:スピード・軌道、6:スナッグレス性能・フッキング性能」の視点で解説されているのも斬新だ。
さまざまなルアーを6つの視点で解釈しており、オリキン流ルアー論を知りたいという人なら楽しめるだろう。
彼はO.S.Pやダイワプロスタッフなので、選ぶタックルがそれらが中心であることを別にすれば、全編をとおしてプロモーションなどはほぼ無い。
全体的に、中級者以上のアングラー向けな内容となっている。
が、バス釣りの考えかたの土台を固めたいという初級者や、論理的思考ができる頭脳派アングラーなら楽しめる内容だと思う。
折金一樹「オリキン式 バス釣りを能率化する68のメソッド」読んでみて思ったこと
やや文章が読みにくい
論理的思考が苦手な僕にとっては、やや難解な本だと感じた。
といっても難しい専門用語などが書かれているワケではなく、簡単な計算式などでたとえながら「確率論と能率」についてわかりやすく解説されている。かなり理系なスタンス。
ただ、難解だなと感じられたのは書かれている内容のことではなく、文章の構成にもあると思う。前半部はかなり読みにくい。
要所で説明不足なセンテンスがあり、言葉足らずの文章があって読みにくさを感じてしまった。
読みにくいにもかかわらず数学的な内容が論理的に書かれているため、文章がスムーズに入ってきずらい。
たぶん、1〜3人くらいのライターが原稿をリライト(校正・編集)しているのだと思う。文体が2.3回入れかわったりするが、後半に進むにつれて安定してくる。
読みにくさを抜きにすれば、全体的には「中級者向け、上手くなりたい人向けの良書」になっていると思う。
価格以上の価値はある。
なんとなく当てずっぽうにレンタルボートに1~2回乗るくらいなら、コレ一冊買ったほうが確実に上達すると思う。費用対効果はデカめ。
「バスを探せる人」が読むための本?中級者向けな印象
バス釣りの基本がある程度身についており、自分なりのバス釣りができるようになってきた人向け(中級者向け)な本…といった印象だ。
初心者はそもそもバスがそこにいるのかすら判断できないし、反応すらよくわからないことがほとんど。
確率なり効率なりを、そもそもどこで、どんな風に、どのルアーを、どのタイミングで行えばいいのか、初心者のうちはわからないからだ。
当著に書かれてあることを実践するのはハードルが高いかもしれない。
ある程度、エリアやルアー選定をおこなえる中級者向けの本なのかなぁと。
「そこにバスがいるであろうスポットで食わせたい人」向けな本…ともいえるが、オカッパリアングラーなら絶対に役に立つので読んでおいて損はないだろう。
中級者から上級者へステップアップしたい、わりとガチ勢向けな本といった印象だ。
バス釣りには数学的な思考も大事だと痛感
前半に書かれている確率論。
文系の僕にとってはめちゃくちゃ難しく感じた。
釣りをしながら、頭のなかでクールに計算をする…というスタンスは、感覚派(もとい、アホ)な僕にとってはややムズカシイデスネ。
が、上手い人の中には確率論を意識している人もいるのだなと知ることができたのは報酬であった。
そういえば、有名ルアービルダーの加藤誠司氏は「バス釣りを上達させるためには数学的思考力は大切」といっていたが、まさに折金氏は数学的なアプローチで結果を出しているアングラーだといえる。
自分の立ち回りがいかにちっぽけで幼稚なものだったのかを思い知らされると同時に、まだ伸び代あるやんけと期待できた。
「探す釣り」と「釣るための釣り」の切り替えが参考になった
正直なところ、「こんな難しいことを釣りの最中にやんの?ムリゲーじゃない?」などと思ってしまい、途中で読み進めるのが億劫になってしまった。
しかし、後半で書かれている「トーナメントへの取り組みかた」はめちゃくちゃ役に立つ!
たとえば、プラクティスの取り組み方やバスの探し方、エリアの選別などがわかりやすく解説されており、実際のフィールドで釣果をあげるまでのステップがわかりやすく解説されている項目がある。
僕はトーナメントには出場しないアングラーだ。
しかし、週末アングラーだったとしても、そもそも「バスを探す釣り」と「見つけたバスを釣るための釣り」ができなければ、思った釣果を出すことはできない。
一般アングラーは1日でどちらもやらなけらばならないが、そんなときに役立つ考え方がたくさん書かれている。めっちゃ役に立った。
最後の数ページには、価格以上の価値がある。
メディアではトーナメントばかりが取り上げられ、選手たちの地道な努力や取り組み方が紹介されることはない。
どれだけ上手いアングラーであっても、地道な努力を積み重ねているのだなと感心した。
以前、オリキン氏に直接アドバイスされた言葉をここに残しておく。
僕は上達するためならなんでもやりました。なんでもやった。
上手くなるためならなんでもやることが大切です。
まとめ:【ブックレビュー】折金一樹「バス釣りを能率化する68のメソッド」
僕はどちらかというとフィーリングで釣りをするタイプだ。
なので、オリキン氏のような理系なスタンスでバス釣りに取り組むのは合わないかも…と思ったのが正直なところ。
ただ、著書内でオリキン氏は「人それぞれの価値観があり、楽しみ方も人それぞれ。正解はない。楽しむのが一番」という柔軟な姿勢をみせており、好感が持てた。
また、著書内にある「バスの反応と生息数」はまったく意識したことがなかったため、次の釣行で参考にしてみたい。
それと、状況を把握するためのプラクティス的な釣りをするときは、釣れる確率が高いアプローチよりも、「釣れない確率が高いアプローチ」を試したほうがいいと知った。
バス探しをしている段階では、釣ろうとしないこと。むしろ、失敗するパターンを発見し、それを潰していく作業が大事…ということを学ぶことができた本だった。
そういえば、エジソンは「私は失敗する方法を学んでいるだけだ」といっていたらしい。
「失敗ではない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ」
「失敗は積極的にしていきたい。なぜなら、それは成功と同じくらい貴重だからだ。失敗がなければ、何が最適なのかわからないだろう」
(引用:tabi-labo.cob)
1/100を当てるなら、99個の失敗を知っておけばいい、というワケだ。
バス探しやプラクティスでは、「あえて釣れない釣りをする」。
そして、本番では「確率・能率的にアプローチする」。
なかなかムズカシイと思うが、当著を読むのと読まないのでは大きな差があるかもなぁと思った。
「確率論」を実際のメジャーフィールドでやってみた感想は「【釣行記】津久井湖釣行。今後のバス釣り人生を左右する重大なことを発見したかもしれない/ オリキンの「確率論」を試してみた / フィネスの釣りで感じた「津久井湖ブームの残骸」」で読むことができます。