バス釣りのオカッパリにおける”ヘビーバーサタイル”の有効性&タックル選定のコツ

繊細であり最強。おかっぱりゼロワンゲームが楽しい!

「ヘビーバーサタイル」は、そこそこ軽量なルアーから重いルアーまで幅広く扱うことができるというマルチな釣り。

オカッパリ・ボート問わず多くの釣り人に支持されるスタイルで、僕個人としても使用する頻度が高い。

そこで今回は、オカッパリにおいて有効性、メリット・デメリットについて紹介してみる。

記事後半では、プロの意見などを交えつつ、ヘビーバーサタイル用タックルを組むコツを解説していく。

オカッパリで”ヘビーバーサタイル”を使用するメリット

ヘビーロッド1本でオカッパリを楽しむ”ヘビーバーサタイル”なスタイル。

陸っぱりにおいてはどんなメリットがあるのだろうか。

僕の経験上において、オカッパリヘビーバーサタイルで得られるメリットは以下のようなものだと思っている。

●他のアングラーと差別化しやすい

●ヘビーカバーを攻略できる

●釣れればデカい(グッドコンディションのバスを狙える)

他のアングラーと差別化しやすい(狙い・意図がカブりにくい)

ヘビーバーサタイルな釣りは、他のアングラーとの差別化を図りやすい。

多くの釣り人はミディアムパワーロッドで7~20g程度のルアーを中心とした釣りを展開するが、ヘビーバーサタイルの場合、メインとするルアー重量が14~56g程度になる。

需要が高いミディアム系バーサタイルの釣りに比べると、扱うルアーレンジが高め・重めといった感じで、釣り人の意図や狙いがカブりにくく、狙う魚をシェアしにくい…といったメリットを得られる。

「今日は全然ダメ!釣れない」という友人の声に反して、ヘビー系なアプローチで50アップ釣れちゃいました…みたいな現象も起こったりするのもヘビーバーサタイルの強みだと思う。

オカッパリ中にヘビーカバーも攻略できる

”ヘビーカバー攻略”はバーサタイル系アングラーにとっての課題。

「いい感じのカバーがあるけど、Mパワーのバーサタイルタックルだと打てなくて泣く泣く諦める」…といった経験がある人もいると思うが、ヘビーバーサタイルならこういったデメリットは解消されやすい。

ヘビーバーサタイルなら、ミディアムパワー系のバーサタイルタックルでは手も足も出ないようなヘビーカバーも攻略可能だ。

一般的なバーサタイル型ミディアムパワーロッドだと、カバーが生い茂ったスポットにルアーを果敢に攻めることができないが、ヘビーバーサタイルなら問題なく攻めることができる。

おかっぱりのバス釣りでカバー攻略をするのに、ヘビーバーサタイルなスタイルはとても役に立つ。

カバーなどが多い野池などでは、ヘビーバーサタイルはかなり有利である。

釣れればデカい!グッドな魚を狙って獲れる

ヘビーバーサタイルで扱うルアーはボリュームがあるものも多く、コンディションの良い魚が釣れやすいというのもメリット。

小バスなどのアベレージサイズを数多く釣るには向いていないものの、一発狙いでデカバスを獲りたいと考えるアングラーに向いている。

ストロングな釣りをやっている自分に酔える…という内的な高揚感も得られるため、「取り組むだけで楽しい=継続できる=釣れる」という好循環も生まれやすい。

ただ、近年はそこそこ軽量のルアーも扱えるヘビーロッドも出てきたため、ヘビーバーサタイル一本で狙える魚の幅も広くなった。

ライトテキサスやフリーリグといったワーミングも可能なので、扱うタックルによっては食わせる力もそこそこ高い。

オカッパリにおけるヘビーバーサタイルのデメリット

ストロングな取り組みで攻めの釣りを楽しめるヘビーバーサタイルだが、デメリットもある。

●食わせる力が低く、決定力に欠ける。

今のところ上記のような点しか思い当たらないが、「フィネスの釣りが出来ない」という部分以外においては、これといってデメリットは感じられにくい印象。

ライトテキサスなどは可能だが、ネコリグやダウンショットといったフィネスリグに比べると、どうしても”食わせる力”不足に陥りやすい。

ヘビータックル一本の場合、決定打に欠ける

ヘビーバーサタイルは食わせる力は低い釣り。

「食わせ系フィネスリグは苦手」といったデメリットがあるため、ハイプレッシャーな状況でスレた魚に口を使わせなければ釣れないようなシーンでは決定力不足になりがち。

一発は狙えるが、手堅くアベレージを狙うといった手法はとりにくい…というのはヘビーバーサタイルのデメリットと言える。

食わせ能力不足といった弱点を補うためには、スピニングタックルやベイトフィネスタックルを手持ちに加えるなどして対応したい。

●ヘビーバーサタイル1本のオカッパリは、ゼロワンゲーム?

ヘビーバーサタイルの場合、使うルアーはハイアピール系のものが中心となりがち。

なので、無難に・確実に釣りをするというよりかは、「デカバス狙い、ギャンブルチック、ゼロワンゲーム(0匹か、1匹か)」みたいな方向性になりがち。

ただ、ライトテキサス(3インチホッグワーム)などを使っていけば、そこそこ食わせ能力も得られるため、使うルアーにもよる。

周囲がダウンショットやネコリグで数を揃えている中、ヘビーバーサタイル1本を貫く自分だけはボウズ…みたいなことは”ストロングアングラーあるある”。

ヘビーバーサタイルは”硬派”な釣り”!?

1つだけ確実に言えることがある。

それは、絶対的な釣力においては、ベイトフィネスの釣りも守備範囲とするミディアム系バーサタイルには敵わない、ということだ。

「どうしてもバスが釣りたい、結果を出したい、小バスでもいいから1匹だけでも釣りたい」というアングラーにはおすすめできない。

しかし、「結果はさておき、俺はグッドコンディションの魚をストロングな釣りで釣りたいんだよね。ボウズ上等!」という硬派なアングラーなら、ヘビーバーサタイルの釣りを楽しむことが出来るハズだ。

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おかっぱりにおける、ヘビーバーサタイルタックルの選び方のコツ

プロが考えるオカッパリバーサタイルは「硬め・強め」がコツ

おかっぱりでヘビーバーサタイルを楽しむためには、どこに注意してタックルを選べばいいのか。

具体的なセッティングは、ダイワプロスタッフでありながらボトムアップ代表を務める川村光大郎氏のタックルを例にするとわかりやすい。

(画像:ルアマガ+「俺の”ダッジ”論/ライバルも褒めるその凄さ!川村光大郎かく語りき」より

ロッド:スティーズSC6111HSBキングバイパー

リール:スティーズSV TW 7.1L

ライン:スティーズフロロ・タイプモンスター16LB

(引用:川村光大郎「バスフィッシング・ボトムアップ・アプローチ」17頁より

汎用性の高いヘビーロッドにバーサタイルなリールを載せることで、ライトテキサスからビッグベイトまでを幅広く扱う…というコンセプト。

ヘビー系ベイトロッドにバーサタイルなリールを組み合わせると、軽量ルアーからビッグベイトまで一通りこなせてしまう”オカッパリモンスター”を誕生させることが可能になるのだ。

●迷ったら「硬め・強め」が基本

オカッパリ用のタックルセッティングに関して、川村氏は以下のように語っている。

ロッドやラインの太さで迷ったら、硬め太めを選びます。

オカッパリでは「無理がきく」ことが大事。

魚がカバーに巻かれてもボートのようにこちらから迎えに行くことができないし、足場が高ければ抜き上げなければならない。

タックルは少し強めに組んでおいたほうが幅広いルアーに対応できる。

(引用:川村光大郎「バスフィッシング・ボトムアップ・アプローチ」16頁より

急なラインブレイク、不安定な場所での魚とのやり取りなど、トラブルを未然に防ぐという意味でも「タックルは硬め・強め」を選ぶのが基本だと川村氏は語る。

オカッパリでは、レンタルボートのように自由に動き回ることができないことも多く、行動に制限がかかってしまうこともある。

また、少ないタックル数でさまざまな環境変化に対応しなければならないため、タックル1本あたりに対する負担も大きくなりがち。

例えば、護岸や杭を打ったかと思ばヘビーカバーを打ったり、次のエリアは障害物もないオープンなスポット…というように環境が変化しやすい。

目まぐるしく変化する環境に柔軟に対応するために、タックルには”汎用性(バーサタイル性)”が求められる。

ヘビーバーサタイルは”ロッド”が鍵を握る

テキサスリグからビッグベイトまで幅広いルアーを扱うことになるヘビーバーサタイルでは、ロッド選びが重要だ。

ワームに特化されたヘビーロッドではワームの扱いは快適でも、ビッグベイトの操作感が悪かったり、かといってビッグベイト専用ロッドでは今度はワーミングが不安定…といったギャップに悩まされがち。

オカッパリでヘビーバーサタイルを楽しむなら、ワームからビッグベイトまで一通り器用にこなせるロッドが必須である。

川村氏の場合、「スティーズSC6111HSBキングバイパー」という汎用性に長けたヘビーロッドを使用しており、当アイテムについて以下のように語っている。

キングヴァイパーは、ヘビーバーサタイルと釘打ってます。パワフルなのに軽くて高感度。

スローテーパーにすることで粘り強さと高い汎用性を備えています。

軽いほうは3.5g程度のライトテキサスから、重いほうは100gクラスのビックベイトにも対応。

PEラインと組んでのフロッグにも相性抜群です。

(引用:川村光大郎「バスフィッシング・ボトムアップ・アプローチ」17頁より

テキサスリグやリーダーレスダウンショットリグ、フリーリグといったワーミングから、2ozほどのビッグベイトまで幅広い釣りを求められるヘビーバーサタイルな釣り。

「強くありながらも、時には繊細に」といった現代的ヘビーバーサタイルな釣りを可能にするには、ロッドが鍵を握るのだと僕も考える。

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簡単!ヘビーバーサタイルのタックルの組み方の基本

ここからは、ごくスタンダードなヘビーバーサタイルのセッティングについて解説していく。

まずは大まかにヘビーバーサタイルのセッティングを紹介すると、例えば以下のようなタックルバランスになる。

【ヘビーバーサタイルのタックルセッティング例】

ロッド:H(ヘビー)パワー

リール:バーサタイル系リールor重量級リール

ライン:フロロカーボンなら最低でも16ポンド。16~20ポンドが一般的。

ナイロンなら20~25ポンド程度。

ロッドはH(ヘビー)パワー

ロッドパワーは強いものを選びたい。

MH(ミディアムヘビー)でも対応できるが、もしヘビーカバーからビッグベイトまで一通りこなしたいなら、パワーはH(ヘビー)を選ぶのが基本。

2oz級のビッグベイトを投げる予定があるならヘビーパワーを。

上限は1.5oz程度で、ヘビーカバーはそんなに攻めない…という場合はミディアムヘビーでも十分。

テーパーはファースト〜レギュラー(モデレイト)、あるいはスローテーパーがおすすめ。

エクストラファーストだと大型ハードプラグ・スイムジグ等を扱った際にキャストしにくく、ノリもやや悪い印象がある。

スピナーベイトやチャターなどのシングルフック系ルアーなら問題ないが、もしトレブルフックを搭載したビッグベイトを扱う予定があるなら、テーパーはファーストからレギュラー(モデレイト)を選びたい。

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ヘビーバーサタイルロッドには、ヘビーバーサタイルなリールを

ヘビーバーサタイルでは、下はテキサスリグ、上はビッグベイトというのが主な守備範囲。

なので、近年バーサタイル機として発売されているリールであれば問題なく使える。

具体的には、以下のようなリールが定番。

【ヘビーバーサタイルに向いているリール例】

●ダイワ「20タトゥーラSV TW」

●ダイワ「21ジリオンSV TW」

●シマノ「SLX MGL MGL」

●シマノ「20メタニウム」

7g程度のシンカーを使ったテキサスリグやラバージグから、2ozクラスのビッグベイトまで幅広く使えるリールを選びたい。

スプール径は32mmのもので良いが、ビッグベイトをメインとするなら34mm。

ビッグベイト”オンリー”であるなら36mm~38mmの大口径スプールが搭載されたベイトリールを。

ライトテキサス(シンカー3.5~5g程度)など軽いルアーも使いたいなら、20タトゥーラSV TWなどの32mm径スプールが搭載されたモデルを選ぶのがおすすめだ。

補足:ヘビーバーサタイル用リールのギア比は?

ギア比はお好みのもので構わないが、個人的にはハイギア一択。

ハイギアであれば、テンポよくカバー撃ちを行えるし、ビッグベイトを使ったときに生まれるラインスラックの処理も簡単。

特にこだわりがないのであれば、ヘビーバーサタイル用リールのギア比はハイギアを選びたい。

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ヘビーバーサタイルに使うラインは「太め・強め」

フロロカーボンなら最低でも16ポンド。16~20ポンドが一般的。

ナイロンラインなら最低でも20ポンドは欲しい。

やや軽量シンカーを使ったテキサスリグ(5~7gなど)を使ったカバー撃ちを視野に入れるなら、フロロ16ポンドが扱いやすい。

霞ヶ浦でオカッパリをするなら、フロロ20ポンドだとオーバーパワーになりやすいので、使用するエリアの環境などを考慮して選んでいこう。

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まとめ:バス釣りの陸っぱりにおける”ヘビーバーサタイル”考察&タックルの選び方

バス釣りのオカッパリでヘビーバーサタイルを使う理由や、メリット・デメリットについて紹介してみた。

ヘビーバーサタイルは、

「普通のバーサタイルな釣りに飽きちゃったんだよね」

「デカバスのみにターゲットを絞りたい!」

「他の人とカブりにくいスタイルを極めたい!」

上記のようなストイックなアングラーにぜひ試してもらいたいスタイルだ。

ストロングなタックルで良い魚を狙うのは刺激的でとっても面白いので、ヘビーバーサタイルな釣りはいろんな人に体感してもらいたい。

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