シマノの最新技術が¥20,000台で買える。どういうことだ。
軽くてタフ、しかも巻き心地がシルキーで極上。くわえて「メタニウム」というブランド感。トキメかないハズがない。
ということで、実際にシマノ「20メタニウム」を5ヶ月ほど使い込んでみたので、僕の体験談を含めてインプレしていく。
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もくじ
- 1 インプレをするにあたって。シマノ「20メタニウム HG」のスペック、使用環境、大まかな傾向
- 2 シマノ「20メタニウム 」スペック
- 3 【5ヶ月使用体験談】シマノ「20メタニウム 」実釣インプレ
- 4 ※補足:主な使用環境など
- 5 汎用性が高く、合わせるロッドを選ばない器用なリール
- 6 快適に使えるルアー
- 7 極上の巻き心地!巻物系ルアーの使用感は最高
- 8 打ち物・底物の使用感
- 9 ●ピッチングしやすい。弾道が伸びる
- 10 バックラッシュしにくい。トラブルが少ない
- 11 シマノ「20メタニウム 」はこんな人にはおすすめできない
- 12 重いロッドで巻物をやる人
- 13 トラブルレス、ストレスフリーなリールを探している人
- 14 「巻き心地」だけを狙って買おうとしている人
- 15 シマノ「20メタニウム 」はこんな人におすすめ!
- 16 まとめ:¥20,000台で「高剛性・シルキーな巻き心地・汎用性が超高い」リールが買えるというのは、控えめに言って『シマノさんやりすぎ』な件
インプレをするにあたって。シマノ「20メタニウム HG」のスペック、使用環境、大まかな傾向
8ヶ月ほど各フィールドで20メタニウムを使用してみた。
まずは、スペックや大まかな傾向、使用環境について書いていく。
シマノ「20メタニウム 」スペック
【シマノ「20メタニウム HG」】
※横にスライドすると全てご覧になれます※
ギア比 | 最大ドラグ力 | 自重 | スプール寸法(径/幅) | ナイロン糸巻き量 | 最大巻上長 | ハンドル長 | ベアリング)BB/ローラー0 | 価格 | |
HG 右ハンドル | 7.1 | 5.0kg | 175g | 34mm/19mm |
12lb-100m 14lb-90m |
76cm | 42mm | 10/1 | ¥44,100 |
スペックはこんな感じ。
スプール径が34mm、ラインキャパ14lb-90m、自重が175g…ということで、汎用性が高い作りになっているのが窺える。
メーカー表示価格は¥44,100となっているが、実売価格(アマゾン)は¥27,000~¥31,000ほど。
ライバル機として挙げられるのは、ダイワ「21ジリオンSV TW」「21アルファス SV TW」などだろうか。
●メーカー解説文
メタニウム [Metanium]
軽量で操作性が高く、守備範囲が広いテクニカル系オールラウンダーに、マグネシウム一体成型のコアソリッドボディと、軽やかな立ち上がりと抜けるような伸びの良さを実現するマグナムライトスプールⅢを搭載。
軽快な操作性とタフな釣りへの適応力をアップし、巻きも撃ちもライトリグも、テクニカルにこなせます。
さらに軽量自重はそのままに、超高強度真鍮ドライブギアを搭載し、タフさにも磨きを掛けました。
(引用:シマノ公式「20メタニウム」より)
マグネシウム一体性型”コアソリッドボディ”。これはマジで剛性が高い。
傷がつきにくく、ヘビーカバーからデカい魚を引っ張り出しても全く歪まない。
マグナムライトスプール3が搭載されているが、スプールの立ち上がりが良いため、軽量ルアーもそこそこ快適に投げることができる。
そして極め付けは「シルキーな巻き心地」。
ブラスギアが搭載されているため、ハンドルの巻き心地がヌルヌルで超滑らか!
【5ヶ月使用体験談】シマノ「20メタニウム 」実釣インプレ
実際に使ってみて感じたことは、以下の通り。
→巻き物から打ち物、ビッグベイトまで何でもイケる
●スプールレスポンス(スプールの立ち上がり)が良い
●巻き心地が最高
●トラブルが少ない
●器用貧乏
コレといって弱点が見当たらない優秀な万能機!
金属で一体性型された”コアソリッドボディ”の存在もあって、とにかくタフで剛性感が強い印象。
「自重が175g&巻き心地ヌメヌメ&スプールレスポンス良好!」ということで、巻きモノから打ち物までなんでもこなせるが、合わせるロッドを選ばない汎用性の高さがアダとなり、器用貧乏に感じてしまうこともあった。
いずれに、非常にバランスが良いリールである。
※補足:主な使用環境など
今回のインプレをするにあたって、参考になるであろう使用データ・使用環境について書いてみる。
●ブレーキ設定
→内部ブレーキシューは2個
→外部ブレーキは3.5〜4
●ドラグ設定MAX
●使用ライン
→フロロ14〜20ポンド
→7.5フィートのフリッピングスティック(20ポンド)
→バーサタイル系ミディアムパワーロッド 6.6〜7フィート(14ポンド)
→グラスコンポジットロッド 7フォートミディアムパワー(14〜16ポンド)
→ワーミング系6.9フィートミディアムヘビーパワーロッド(14〜16ポンド)
→神奈川県相模湖、津久井湖、千葉県戸面原ダム、野池
追い風、向かい風、無風時など、各環境でテスト
●使用期間 2020年8月〜12月
→男性 175cm 体重78〜80kg
体脂肪25%前後 除脂肪体重58kg前後
週1.2で適度な筋トレやる30代男性
☆個人的な癖
→ロッドのスイングスピードはやや速め
→右投げ右巻き
パーミング(左手)
→主にスリーフィンガーパーミング
→底物操作時ツーフィンガーなど
汎用性が高く、合わせるロッドを選ばない器用なリール
20メタニウムは汎用性が高いリールだ。
自重が175gと軽量なこともあり、近年の軽量化されたバスロッドと組み合わせても違和感なく使っていける。
スプールレスポンスも良好。
巻物から打ち物に幅広く使えるため、合わせるロッドを選ばないという点もグッド!
●悪く言うと「器用貧乏」?
ただ、「合わせるロッドを選ばない」というのは、悪く言ってしまうと「ベストなロッドが明確になりにくい」ともとれてしまう。
当機はあまりにも汎用性が高いリール。
そのため、人によっては「イマイチ掴み所がないリール」という印象を感じてしまうかもしれない。
しかし、別売りの”夢屋シャロースプール”を載せればベイトフィネス機としても使えるらしいので、まさに「使い方はアングラーの数だけ存在する」というような魅力的なリールだと言える。
純正状態で半年ほど使い続けてみたが、カスタムせずこんなに使ったのは初めて。
完成度が極めて高いリールである。
快適に使えるルアー
シマノ「20メタニウム 」で快適に扱えるのは、7g〜56gくらいまでのハードルアー・ワーム全般といったところ。
最も快適なのは14〜28gくらいで、オカッパリ・レンタルボートともにバーサタイルな使い方にマッチするような印象だ。
極上の巻き心地!巻物系ルアーの使用感は最高
スピナーベイト、クランク、チャターといった巻物は1/4〜1ozくらいまでが使いやすい。
20メタニウムは巻き心地が非常にシルキーで滑らかなので、巻き抵抗の強いルアーも力強く巻いてこれる。
1oz~2ozくらいのリップ付きビッグベイト、羽根モノといった大型ハードルアーにも対応するため、巻物用ロッドと組み合わせても平均点以上の使い心地だ。
●「シルキーな巻き心地」が、ついに¥20,000台のリールにも適用された
これまで「巻き心地がシルキー」という言葉は、シマノ社のカルカッタコンクエストやアンタレスといったフラッグシップモデルの専売特許フレーズでもあった。
しかし、ついに実売価格が¥20,000台のメタニウムにも「巻き心地がシルキー」という言葉が使われるようになった。なってしまった。
(写真左が16メタニウムのジュラルミン製ギア。右が20メタニウムのブラス製ギア)
シマノ「20メタニウム 」の巻き心地が滑らかである理由は、『ブラスギア』が使われているからだ…と語るのは、JBTOP50で活躍中の人気プロアングラー・黒田健史氏。
以下、黒田氏のコメント引用↓
メインギアがブラス製になります。おそらく私の記憶が確かならブラスギアに戻るのは随分前のメタニウムXT以来。
16メタニウムMGLに採用されていたようなジュラルミンギアは20メタニウム採用のブラスギアに比べて格段に軽いです。
その差はギアだけで10g以上。
ブラスギアはその重量もあり剛性感や巻き感がUPします。
シマノベイトリールでもアンタレスやカルカッタのような、いわゆる巻心地を重視するリールにはブラスギアを、メタニウムやアルデバランには軽量なジュラルミンギアが搭載されてきました。
(引用:黒田健史「いろはにほへと」)
20メタニウムには、同社のフラッグシップ機であるアンタレスやカルカッタに使われていたブラスギアが搭載。
これにより、滑らかでシルキーな巻き心地を得られるようになった、と黒田氏は語る。
実際、僕の体験談としても「うひょ〜wめっちゃ巻き心地が最高でヤンスwヌメヌメやんけw」といった感じで、ハンドルの巻き心地が非常に滑らかであることに驚かされた。
8~10g程度の軽量なルアーから、~2ozくらいまでの重量級ルアーまで快適に巻いてこれるので、バーサタイル系リールとしておすすめだ。
低弾性〜中弾性の巻物用ロッドやグラスコンポジットロッドに合わせても違和感なく使える。
そのため、バス釣り初心者の方から、”巻き”の釣りを極めしエキスパートアングラーまで様々な人に満足できるリールだと思う。
打ち物・底物の使用感
巻き心地が最高の20メタニウムだが、スプールレスポンスが良いため、打ち物系ルアーにも使いやすい作りになっている。
たとえば、テキサスリグやフリーリグ、リーダーレスダウンショットリグやラバージグといった、打ち物・底物径ルアーに最適。
重量でいうと、だいたい5g~28gくらいまでのシンカーに対応する。
個人的に最も快感指数が高いウエイトは、「7gシンカー+3.5~4.5インチホッグワーム」といった組み合わせ。
ややカバーが薄い場所へのライトフリッピングから、ヘビーカバーを狙ったフリッピングまで、”撃ち”の釣りならどんな使い方もできてしまうのがありがたい。
どのルアー重量でも満遍なく気持ち良いため、使用感の偏りが少ないのも嬉しいポイント。
さらに、リールの自重が軽いため(175g)、ピッチング&ルアー操作を長時間行っていても疲れにくいのも良い点。
巻物だけでなく、テキサスやジグなどの打ち物・底物との相性も良いリールだ。
●ピッチングしやすい。弾道が伸びる
7.5フィートのフリッピングロッドにも載せていたが、ピッチングの弾道が浮き上がらずに快適にカバー打ちを楽しむことができた。
カバーの奥の奥、もうひと伸び!っていうときにスーっと伸びてくれるため、カバー打ちが快適。
これまでは「もうひと伸び!」が欲しいときには、ベアリングカスタム(ヘッジホッグスタジオ『カッ飛びチューニングキット』など)を施していたが、20メタニウムは純正状態でもよく伸びる。
スプールレスポンスが良く、5gくらいのやや軽いシンカーを使ったテキサスリグ(ワームは3~3.5インチホッグワームなど)もピッチングしやすい。
さらに、ボディ剛性が高いため、ヘビーカバーからのゴボウ抜きでもストレスなく使用できる点もお気に入りポイント。
ライトカバー用タックルからヘビーカバー用タックルまで、どんなロッドに合わせても問題なく使っていけるため、シマノ『20メタニウム 』は「テキサスリグとかに使うピッチング用リールが欲しい」という人にもおすすめだ。
バックラッシュしにくい。トラブルが少ない
シマノ「20メタニウム 」を使用していて感じたのは、トラブルの少なさ。
スプールからラインが浮き上がりにくい作りになっているのか、バックラッシュが少ない。
僕はこれまで、銀メタ、07メタ、13メタ、20メタと使用してきたが、20メタはもっともトラブルが少ないと感じる。
13メタのブレーキはややピーキーな印象があったが、20メタはマイルドというか、誰が使っても一定のクオリティを保つことができるような印象だ。
…といっても、バックラッシュの少なさはDCブレーキには敵わない。
逆風(風速5~7m)に向かってキャストすると、スプールからラインが浮き上がったりもする。
逆風はやや苦手だが、それ以外の状況では、内部ブレーキシューは2個、外部ブレーキは3.5〜4で、全て対応できる。
シマノ「20メタニウム 」はこんな人にはおすすめできない
重いロッドで巻物をやる人
例えば、ノリーズ「ロードランナーヴォイス」や、デプス系ロッドといったやや自重があるロッドに合わせると微妙かと思う。
自重が重いロッドに巻物用リールとして合わせると、バランスが悪いように感じた。
7フィートの重いグラコンに乗せたけど、もうちょいリールに自重があるといいなと。
あと、バスブームの頃に発売されていた、やや重いロッドに合わせるのもちょっと微妙。
あの頃のロッドはグリップが太めだし、当機はロープロなのでバランスが合わないかも。
もし合わせるなら、最近のロッド(グリップがやや細め、ロープロリール対応、自重が軽め)に合わせるのが良いかと思う。
●失敗しない!巻物ルアーに適したベイトリール選び方 & おすすめリール18選。
●【おすすめロッド10本】霞ヶ浦・野池などのオカッパリで巻物をやるのに適しているロッドはコレです。
●『タックルバランス』を意識するだけで釣れる魚が増える!タックルバランスの考え方(基礎知識)。ロッドとリール組み合わせ、リール重量とロッドの関係など。
トラブルレス、ストレスフリーなリールを探している人
シマノ「20メタニウム 」はトラブルが少ないリールだ。
しかし、DC(デジタルコントロール)ブレーキ搭載リールや、ダイワのSVスプール搭載リールと比較すると、ややラインが浮きやすかったり、向かい風にも弱い印象がある。
完全ストレスフリーで釣りをしたいなら、DC搭載リールを選ぶか、ダイワのSVシリーズを選ぶことをおすすめする。
あとは、ヘッジホッグスタジオ「カッ飛びチューニングキット」を使ってトラブルを減らす…といった方法もあるので、どうしてもメタニウムが欲しいけどトラブルが気になる!という人は試してみてほしい。
●【2年8ヶ月使用インプレ】もう純正に戻れない。「カッ飛びチューニングキットAIR HD」を15メタニウム DCに導入したらストレス激減。
「巻き心地」だけを狙って買おうとしている人
巻き心地だけを重視するなら、¥10,000以下で買えるレボxでも目的は達成できる。
レボxにもブラスギアが採用されているため、「安くて巻き心地が良いリールがほしい!」という人はコチラでも十分かと思う。
近年はダイワやアブのリールにも巻き心地に優れたアイテムがいっぱいあるため、巻き心地”のみ”を得ようとして20メタニウムを選ぶと失敗しやすいかも。
巻き心地だけなら、他にも良いリールがある。
たとえば、ダイワ「スティーズSV TW」「スティーズA TW」とか。
シマノなら「カルカッタコンクエスト100/100DC」とか、「19アンタレス MGL」とか。
リール選びでは、「巻き心地”以外”にどんな要素を求めているのか」という点もしっかり意識しておきたい。
シマノ「20メタニウム 」はこんな人におすすめ!
20メタニウムは以下のような人におすすめだ。
●軽量ルアーから重量級ルアーまで幅広く扱える中級機〜上級機が欲しい
●「シマノの最新技術が詰め込まれている最先端リールを使いたい」という人
●オカッパリバーサタイル・タックル1本で何でもやりたい人(夢屋シャロースプールも購入する予定の人)
●軽量ロッドに合わせるリールを探している人
●打ち物・底物専用タックルに合わせるリールを探している人
●「”メタニウム”というアイデンティティ(ブランド感、デザイン性)」に心ときめく人。
汎用性が高いリールはどこにでも存在するが、
●シマノの人気リール(メタニウム というアイデンティティ)
●自重175g+シマノの最新技術「金属一体性型コアソリッドボディ」+巻き心地極上
…といった要素は、他のリールにはないポイント。
上記の要素をふまえて選べば、購入で失敗することはないはずだ。
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まとめ:¥20,000台で「高剛性・シルキーな巻き心地・汎用性が超高い」リールが買えるというのは、控えめに言って『シマノさんやりすぎ』な件
シマノ「20メタニウム HG」について、僕が実際に5ヶ月ほど使用した体験談を元にインプレを書いてみた。
個人的に「メタニウムシリーズ」というブランド感に惹かれて購入したが、僕の選択はどうやら間違っていなかったようだ。
シマノ「20メタニウム 」はどんなタックルに合わせても違和感がないため、『失敗しない、間違いのないリール』である。
ちなみに、アマゾンだとノーマルギアのみ¥20,000台で購入可能なので、検討している人はチェックしてみてはいかがだろうか↓