【ブックレビュー】「僕たちのバスフィッシングにセオリーは必要ない」。ほぼ暴露本かも…。凝り固まったパターンフィッシング脳に”喝”を入れる刺激強めの本

最近、ネット上で流行りの「釣り業界の闇」。
個人的にもセオリーを辿るだけでは釣れないと感じるし、釣りの経験を重ねるにつれて「おや?」と感じることも。

そんななか、興味深い本が発売されました。「僕たちのバスフィッシングにセオリーは必要ない」という本です。

ということで、本書を読んだ感想・レビューを紹介します。

【レビュー】「僕たちのバスフィッシングにセオリーは必要ない」。凝り固まったパターンフィッシング脳に”喝”を入れる刺激強めの本

大まかな内容

「僕たちのバスフィッシングにセオリーは必要ない」は、『定説メッタ斬り!』をテーマに、古くから存在するパターンフィッシングについて対談形式で回答する…という内容です。

回答者である木村建太氏・北大祐氏ともに、アメリカのトーナメントに参戦する現役選手。

ウワサや流行、過去の産物ベースの話ではなく、彼らが実際に現代のフィールドで得た体験をもとにしながら、自身の切り口でバッサリと斬り捨てまくる!といった構成になっています。

たとえば、以下のようなテーマに対して両名がズバリと回答しています。

●「シーズナルパターンがバス釣りの基礎」なのか?

●「カラー」にまつわる幻想

●「今、このルアーが釣れてます」に乗るべきか!?

●「プレッシャーが高くて…」は聞き飽きた

●大いなる春への誤解

一般的なパターンフィッシングの定説に対して強気にコメントしていく、という内容です。

上記のような不確かともいえるパターンや定説を、痛快にブッタ斬るような構成となっています。

全体の印象・方向性

本書の傾向やスタンスをざっくり表現するなら、以下のようなイメージです。

「自分の釣りを常にアップデートし続けることが大切」

「パターンや型にハマるな。情報のインプットのしすぎには注意」

「あなたの考え方、完全に間違ってますよ?」

「君たちはあくまで一般人なんだから、プロの真似をしても無駄。真似ではなく、自分の魚を追え」

※上記は筆者が読了後に感じたイメージです

具体的な釣りメソッドやテクニックが紹介されているわけではなく、あくまでバスフィッシングにおいてのマインド面・考え方が書かれています。

全体的に、強気・マウント・やや上から目線で力強くパターンフィッシング信者をブッタ斬り!といった本です。

「僕たちのバスフィッシングにセオリーは必要ない」を読了。個人的な感想

メディア・雑誌・バスプロたちの提唱パターンをバッサリと斬る「ほぼ暴露本」的な感じ

読んでいてなかなか刺激がありました。
当著を読んでいて思ったのは、今、釣りメディアのあり方やスタンスが大きく変わろうとしているのだな、というものです。

ほぼ暴露本みたいな印象があり、「コレ、暴露しちゃって平気?」と冷や汗をかきながら読み進め、読了後はメンタル的な疲労感や消耗感、辛さのなかに包まれていました。

強気なコメントでさまざまな定説を否定しまくっているので、読んでいて疲れました。言葉にややキツい印象があり、辛さがあった。

当著を読んでいて「あらら、カナモや並木さん、ヒロ内藤さんや村田基さんがすげぇ否定されている。彼らにケンカ売って大丈夫なのだろうか…」と不安になった(笑)
※北さんとヒロさんは一緒に食事をするほど親交があるそうです(インスタより)

良くも悪くも、当著を読むことで、自分のなかにある凝り固まってパターン化されたマインドを破壊させられた気分です。
ただ、読了後に爽快な感覚になるというよりは、著名プロに完全否定されて上からズドンと押しつぶされて終了、というイメージです。

読んでいて「なんかこの人たち”怖いな”」という印象が拭えませんでした。オラオラ系?
全体的に、テーマに対してマウント取りや否定することが目的になっているような印象が強いかもしれません。

とはいえ、もちろん参考になった部分もあります。

語気は強めでマウントとるような回答が目立つものの、内容そのものには説得力があり参考になる。

カラーやルアーうんぬん、パターンうんちくに拘る前にやるべきことがあるぞ、ということを再確認させてくれたので、トータルで見るとややプラスかな…といったところでしょうか。

読む価値はあるかと思います。刺激をもとめているなら是非。

もうバスプロ・メディアプロたちは”嘘”をつくことができない?

正直なところ、読書中、「こんなことを著名なバスプロが言ってしまっていいのかな」と不安になりました(笑)

たとえば、木村氏自身は本書内で以下のように語っています。

【情報はすべて過去の遺物】

現在のスタイルにたどり着くまでに、ふたりには師匠のような存在はいたのだろうか。
あるいはバイブルにしているようなバス釣り教書があった?

北「どちらもないですね」。

木村「ないない。だいたい本も雑誌も本当のことは書いてない(笑)

(引用:「僕たちのバスフィッシングにセオリーは必要ない」37頁より)

雑誌やメディアプロたちをブッタ斬ることで自分の首を絞めているような気もしますが、今後、メディア活動のスタンスを変えていくぜ!という彼らの意思表現も垣間見えます。これ、ブーメランですかね。

ある意味、彼らは潔いし”漢”らしいともいえます。
今後の彼らの活動がどう変わっていくのか。彼らがどのように釣具プロモーションをおこない利益を出そうとするのか。

”遠く”から見守りたいと思います。

●「今、〇〇が釣れています!人気だからお早めに!」→バッサリ斬られています

当著のような暴露本っぽいものが出版されたため、釣具店や業界そのものが変わらなければならなくなった、ともいえます。

彼らは釣具ショップを潰す気なのか、あるいは、そもそも釣具屋が悪どい商売をやりすぎているのか…どちらが正義かは定かではありません。みな、生活がありますので。

とはいえ、バスプロ本人が著書内で「カラーとかほぼ気にしない。ルアーなんてぶっちゃけどれでもいいんです。好きなの使おう」と言っているのが気になります。

もう釣りメディアやらユーチューバーやらは、今までの在り方では太刀打ちできなくなるでしょう。
だって、バスプロたち自らが「メディアには嘘がある。ルアーなんて好きなの使い込んで自分のサカナを追え」と証言しているのですから…。

今後、メディアプロや雑誌・釣り業界は「春の〇〇パターン!」「霞ヶ浦のシラウオパターンで炸裂!」だとか、「このルアーだから釣れる!この波動だから食う」みたいな誇張表現やアピールを行いにくくなった感もある。

僕も一応ブログ運営をさせてもらっている立場なので、もう誇張表現や「超釣れる〇〇!これだけ投げておけばOK!」みたいな適当なことを言えなくなった感…言ってはダメですね、すみません。

いずれにせよ、雑誌・メディアで書かれていることのすべてが真実であるわけではない、ということが本書にて明るみになったといえます。
プロパガンダを信用しすぎては釣りは上達しません、ということでしょうか。

どんな人におすすめ?不向き?

パターンフィッシングを愛用している古参アングラーさんは、覚悟して読んだほうがいいかなと思います。
自分の信じていることを上から目線でマウントとられ気味で思いっきりブッタ斬られますので…(^ ^;)

(以下敬称略)ヒロ内藤・村田基・田辺哲男・並木敏成・金森隆志の熱烈なファンにはおすすめできません。

ヒロ氏のDVDを観てバス釣りを勉強した!なんていう人は、超マウントをとられて全否定されている気分になるかもしれません。少なくとも、僕はそう感じました。
僕が否定されたのではなく、ヒロ氏や村田氏、金森氏などが否定されている感じ?
多くの人にケンカを売っているといった印象。大丈夫なのでしょうか。

僕はこれまでさまざまなバス釣り系著書を読んできましたが、ここまでバッサリと斬りまくっている本を読んだのははじめてです。

古参アングラー向けというよりも、若い人向けの本かなといった印象です。

そのため、柔軟にあたらしい情報を吸収したいと考える人や、まだ固定観念に縛られていないビギナーさんなどにとっては良書になるかなと。

むしろ、初心者さんなら早い段階で知っておきたい知識が書かれています。

まとめ:【レビュー】「僕たちのバスフィッシングにセオリーは必要ない」。ほぼ暴露本かも…。凝り固まったパターンフィッシング脳に”喝”を入れる刺激強めの本

「僕たちのバスフィッシングにセオリーは必要ない」を読んだので、レビューや感想を紹介しました。

なかなか刺激的な暴露本っぽい内容です。

メンタルに余裕のない人や、ある程度自分の釣りスタイルが固まってきた人や、レジェンド系プロのファン、若手・中堅バスプロが苦手な人、物申す系ユーチューバーを好まない人などにはおすすめできない内容でした。

一方、「パターンフィッシングを取り入れているけど成果が出ない」と伸び悩んでいる人にとっては良書だともいえるでしょう。
現役プロの経験をもとにした最新のバスフィッシングを学ぶことができます。

「僕たちのバスフィッシングにセオリーは必要ない」が気になった人はチェックしてみてはいかがでしょうか。

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