Basser(バサー)2020年11月号を購入。
バサー2020年11月号では、全体を通して「スピナーベイト」にスポットを当てて構成されている。
●清水盛三のDゾーン
●奥村和正氏と田辺哲男氏のコラボ釣行&スピナーベイト対談
●青木大介のフィネスアプローチ的スピナーベイティングメソッド
●「スピナーベイトは死んだのか?」と題された米国のスピナーベイト事情
●スピナーベイト縛りの大会「ザ・ブレード」
…などなど、これ1冊でスピナベの必要性や魅力を楽しめるような作りになっている。
巻物が効果的になりやすい秋っちゅーことで、この時期のスピナベ特集はとってもありがたい。
感情を揺さぶられた記事や、気になったポイントがいくつかあったので、レビューを書いてみる。
●Basser(バサー)2020年11月号
もくじ
- 1 【ブックレビュー】Basser(バサー)2020年11月号。モリゾーの言葉に魂が震えた。
- 2 清水盛三 / Dゾーン 出発から現在に至る劇的20年の歩み
- 3 「何もかもぜんぶ教えられてしまったら面白い?」。プロセスを楽しむ大切さ
- 4 「過程・プロセスそのものを楽しむ」を忘れないようにしよう
- 5 ”遠回り”だと感じる取り組みが、実は”最短距離”だったりする
- 6 誰かの”正解”をなぞるだけは、自分にとっての”正解”にはたどり着けない
- 7 青木大介 巻きモノの限界を拡げる”D-SPIKER“その固有の質
- 8 適当にただ巻きして釣れる時代ではない
- 9 青木氏のタックルが、地味にアメリカ仕様になりつつあるのが嬉しい
- 10 【ブックレビュー】Basser(バサー)2020年11月号。モリゾーの言葉に魂が震えた。|まとめ
【ブックレビュー】Basser(バサー)2020年11月号。モリゾーの言葉に魂が震えた。
清水盛三 / Dゾーン 出発から現在に至る劇的20年の歩み
Dゾーンが発表された当時の衝撃や、なぜDゾーンのアクションの性質などについて書かれている。
個人的にも、Dゾーンは愛用しているスピナーベイトの1つなので、アクションが起こる仕組みを詳しく解説された記事は超参考になる。
記事冒頭に書かれていたフレーズで、フフっと微笑まされた一節も。
「Dゾーンは競技のなかで、こわれる可能性が高くても1本のビッグバスを獲ることにこだわって作られたスピナーベイトです。
(中略)40cm/1kgクラスなら3本程度釣り上げたときが折れを防ぐ交換の目安となります」
2000年の発売当時、まず衝撃的だったのが、台紙の裏面に書かれたこの注意書きだった。
(文章引用:Basser2020年11月号 32頁)
この文章で、クスっとさせられた(笑)
実際、Dゾーンが発売された時は「超釣れるけど、超脆い”諸刃の剣”的なスピナーベイトが登場!」といった感じで、かなり衝撃を受けた。
「いやいや、折れちゃダメでしょwでも釣れるんなら使ってみてぇ!」と感じていた、当時の記憶が思い出された。懐かしい。
Dゾーンが発売された当時、釣り友達たちと「Dゾーン欲しいんだけど、すぐに折れそうで怖いよな!(笑)」といった会話をしていたのは良い思い出だ。
個人的にも、Dゾーンは今だに愛用させてもらっているスピナーベイトなので、当記事は楽しく読むことができた。
「何もかもぜんぶ教えられてしまったら面白い?」。プロセスを楽しむ大切さ
当記事で、Dゾーンのツボや釣れる秘密について、清水盛三氏(以下、モリゾー)は「”秘密”は墓場まで持っていくわ(笑)」と語っている。
続けて、モリゾーはこんなことも言っている。
「Dゾーンしかりワイルドハンチしかり、最初はそんなに売れへんかった。
でも、イイものを作ればいずれ必ずわかってもらえるから大丈夫、自信がある。
それにねェ、何もかもぜんぶ教えられてしまったら面白い?
少なくとも僕はそうじゃないから、使ってくれる人の楽しみを奪ってしまうのは申し訳ない」
(文章引用:Basser2020年11月号 34頁)
上記の言葉が、成果主義に陥っていた僕の魂を揺さぶったのだ。
「過程・プロセスそのものを楽しむ」を忘れないようにしよう
昨今はインターネットの発達により、誰でも簡単に情報を得られるようになった。
釣果を引き出せる様々なテクニックを学べたり、簡単に成果を出せるような方法に手軽にアクセスできる時代だ。
しかし、誰でも簡単に、すぐに正解・回答を得られるというのは、答えを見ながらテストを受験しているようなものでもある。
ここ最近、僕が思うのは、「答えを見せられてすぐに結果を出せたとしても、面白みは半減するよなぁ」ということ。
様々な情報や、他人にとっての正解をなぞることで、自分自身にナゾ解き要素を楽しむような”アソビ”が無くなってきていると感じる。
こう感じている人は僕以外にもいるんじゃないだろうか。
問題と対面し、どうやって解決しようか、どうしたらもっと上達するのか、どうやったらもっと向上できるのか、といったプロセス・工夫を楽しむ力が失われつつあるような感じ。
ついつい効率・簡単・成果・成功ばかりを追いがちな僕は、上記のモリゾーの言葉を読んでハッとさせられた。
僕のような素人の一般人が行うバス釣りは、仕事でもなければテストでもない。
結果を出すまでの過程を楽しめるような心の余裕があると、バス釣りを長く継続できるし、自分の手でもっと面白くすることができるのだ、とモリゾーの言葉で気づく。
”遠回り”だと感じる取り組みが、実は”最短距離”だったりする
すぐに答えを知ろうとしたり、最短で結果を出そうとするのは、趣味の寿命を縮めることにも繋がるし、何より取り組んでいて楽しくない。
もちろん、楽に成果を出せた方がいいに決まっている。
がしかし、成果を得られるまでのプロセスそのものを楽しめた方が、アソビの取り組み方としては正しいのかな、とも思う。
すぐに答えや正解にたどり着こうとせず、「コレ、こうした方がいいんじゃね?」と自分なりに試行錯誤したり工夫するといった、非効率・非成果主義な取り組み方を、楽しむ。
情報化社会の全盛期とも言える昨今においては、ある意味”遠回り”とも言えるような取り組み方だが、非効率を楽しむのも、”趣味”の楽しみ方の1つではないか、と。
例えば、テキサスリグのシンカーウエイトを決めようと思ったときに、
「〇〇プロが5gが良いって言っていたから、真似しよう」ではなく、「〇〇プロは5gが良いって言っていたけど、7gで試したらどうなるんだろう。もしかしたら14gの方が良かったりするのかもしれない」
…といった感じで、取り組み方を「受動的な方向から能動的な方向」に切り替える、といった具合に。
結果を出すことを目的にするのではなく、「結果を出すまでのプロセスそのものを楽しむような意識」を忘れないようにしないとアカンな、と思った。
誰かの”正解”をなぞるだけは、自分にとっての”正解”にはたどり着けない
ネットで知識や体験、知恵を集めるのは、思考の方向性が受動的。
貰う側、頂く側、真似をする側の意識だ。
そこに自分の想いや意志は、あんまり反映されていない。
しかし、「コレ、こうした方がいいんじゃね?」といった、自分の内側(内的なモチベーション)から生まれる能動的アクションは、自分自身の想いから来ているマインドだと僕は思う。
内的モチベーションを大切にしていったほうが、物事は継続するし、取り組んでいて楽しめる。
ただ、能動的なアクションは、非効率だし面倒だし手間もかかるし時間もかかるのが残念なトコロ。だから、みんなやりたがらない。
誰かの意見を鵜呑みにしたほうが、自分で考えるより楽だから。
”自分の力”で物事を考えるのは疲れるし、できればやりたくない。
僕自身も、つい本やネットなんかで情報を読みまくったりするし、「自分の力で考える」ことを怠けてしまいがち。
ネットですぐに答えを見つけようとするし、書籍などをむさぼるように読んだりすることだってある。
他人のマインドをそっくりそのまま活用した方が結果が出そうだし、その方が効率的だと思うし、何よりストレスが少ないから、ついつい”ソッチ”の方向に流されたりする。
でもコレ、全然上手くいかない。
他人の知恵や成功体験をパクったとしても、結局はその人の劣化版人間になるんだなぁと思ったり。
「問題点と改善策を”自分”で考えて、様々なパターンを検討・検証していく」といった、一見すると遠回りだと感じられるような取り組み方が、実は結果を得られるまでの最短距離だったりする。
他の人間の意見や知恵、成功体験は、自分自身の人生において、もしかしたら再現性がないパターンかもしれない。
生まれた環境も食べているモノも、思考の癖も何もかも違う他人の知恵や知識が、必ずしも自分にとっての”正解”とは限らない。
”すぐに・手軽に・簡単に”答えに辿り着ける時代になっているからこそ、『プロセスを楽しむ』といった非効率な取り組み方を大事にするべきなのでは、と思った。
モリゾーは言った。
「自分でひとつひとつ体験しながら、じっくりバスフィッシングにのめり込んでほしい。
そしたら最低40年は楽しめることを僕が保証するよ」
(文章引用:Basser2020年11月号 34頁)
成果を出すことは大事なことだが、成果を出すだけが全てではない。
すぐに、最短で結果を出そうとせず、近道だけを選ぼうとせず。
自分なりの工夫を楽しみつつ、結果を出すまでのプロセスそのものを楽しむ。
バスフィッシングを長く楽しむ秘訣は、取り組み方に”能動性”を持たせることなのだと考えさせられた、素晴らしい記事だった。
●Basser(バサー)2020年11月号
青木大介 巻きモノの限界を拡げる”D-SPIKER“その固有の質
「巻いて引っ張れるのは簡単なサカナだけ(笑)。
そうじゃないヤツも、反応させたい」
(文章引用:Basser2020年11月号 42頁)
こう語るのは、元JBTOP50プロでありながら、現在アメリカのトーナメントで活躍中の青木大介氏。
『巻きモノの限界を拡げる”D-SPIKER“その固有の質』の記事では、彼が監修したディスタイル「Dスパイカー」の性質や特徴の解説に加え、青木氏が考えるスピナーベイトについて書かれている。
当記事の中で最も気になったのは、Dスパイカーについて語っている青木氏の、以下のような言葉。
「自分がトーナメントで使うために作っているので、巻くだけでも普通のスピナーベイト以上に釣る性能は高いと思ってます。
だけど、巻いていればすっ飛んできて食うようなバスって、ぶっちゃけ簡単なんですよ。どんなスピナーベイトでもよかったりする。
でも試合ではそういうサカナだけじゃ勝負にならない」
(文章引用:Basser2020年11月号 42頁)
この言葉に、しみじみと首を縦に振らされた。
適当にただ巻きして釣れる時代ではない
近年のバスフィッシングでは、「適当に投げていたら、ドンッと釣れちゃう」みたいなラッキーフィッシュと出会えることも減ってきている。
「巻物でサーチ!なんか知らんけど釣れちゃった!」というような魚と出会うのが難しい時代だし、仮に出会えたとしても、小バスやアベレージサイズだったりすることがほとんど。
ただ巻いているだけじゃ釣れない。
釣れる魚は簡単なサカナだけだというのは、超同意。
当記事を読んでいて思ったのは、「どんなスピナーベイトを使うのか?」はさほど重要ではなく(重要だが、最優先事項ではない)、ベイトとバスのポジションや、フィールドの特性などを見抜き、それに合わせたスピナーベイトの使い方をするのが大切なのだ、ということ。
当記事で青木氏は、スピナーベイトを表層で高速巻きしたり、シェイクなどを使ってナイスフィッシュを獲っている。
タダ巻きで適当に巻いても食わない時代になっているからこそ、多彩なアプローチを奏でる青木氏のスピナーベイティングには感心させられた。
●Dスパイカー、よく釣れるのでおすすめです
ちなみに、ディスタイル「Dスパイカー」は、僕も愛用させてもらっているお気に入りのスピナーベイト。
「波動は弱めだけどシルエットが大きい」といったフィネス的アプローチを可能にするので、使い所が多くて便利なのだ。
霞ヶ浦や野池のオカッパリから、相模湖や津久井湖などのハイプレッシャーなフィールドでも使いやすい作りになっている。
【関連記事】Dスパイカーを紹介している記事↓
青木氏のタックルが、地味にアメリカ仕様になりつつあるのが嬉しい
青木氏は、確か3/8~1/2ozスピナーベイトを使用するときに6.5~6.8フィートくらいのロッドを使っていたと記憶しているが、当記事では6.10フィートを使用している。
青木氏を追ったドキュメンタリーDVD「シリアス」シリーズを4本ほど観させてもらったこともあるが、その時も確かもうちょい短めのロッドを使っていた気がする。
フロロ16ポンド使ってたり、6.10ロッド使っていたりと、アメリカンスタイルを取り入れたりしているような印象があるので、読んでいてワクワク。
何となく、青木氏がアメリカンスタイルになってきていると感じるので、ちょっと心がときめいている(笑)
●Basser(バサー)2020年11月号
【ブックレビュー】Basser(バサー)2020年11月号。モリゾーの言葉に魂が震えた。|まとめ
清水盛三氏のピュアな想いに魂が震えた、Basser(バサー)2020年11月号。
「とにかく早く結果を出す、効率よく正解にたどり着く」といった結果主義ではなく、結果にたどり着くまでのプロセスそのものを楽しむことも忘れてはならない、と気づかされた良記事だった。
その他、
●スピナーベイトは死んだのか!? 米国プロツアーにおけるスピナーベイト事情
●スピナベ縛りの大会”the BLADE 2020”の模様
などなど、スピナベ関連の記事が目白押し。
気になった人はぜひ手に取ってみてほしい。
●Basser(バサー)2020年11月号
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