【思い出のルアー 1 個目】メガバス「POP-X」。バスフィッシングブーム・メガバスブームの思い出。メガバス狩りされたあの頃と共に。

「思い出のルアー」シリーズでは、僕が個人的に体験した「このルアーは思い出深い、好き・嫌い」みたいな、超個人的な体験談を書いていく。

特にお得な情報などない記事だが、バスフィッシングブームをリアルタイムで経験したおっさんの思い出として、ここに記録していこうと思う。

要するに、懐古な情感に浸りたいだけの時間である。

【思い出のルアーその1】メガバス「POP-X」

今から約20年くらい前のお話。

僕が中学生だった当時、世間はバスフィッシングブームが起こっていた。

芸能人すらバスブームの流行に乗り、シマノやダイワのテレビコマーシャルに有名俳優が起用されるなど当たり前。

キムタク、清水国明、反町隆史、江口洋介などなど、多くの芸能人がCMやメディアに出たり。

有名コピーライターの糸井重里がプロデュースした「糸井重里のバス釣りNo.1」なんていうゲームソフトが発売されることもあった。

もちろん僕も最速で購入し、毎日のように60オーバーを釣り上げてニヤニヤしていた(ダムの橋脚のディープにラバージグを落とし続けると、必ずデカいのが食ってくる…というパターン)。

富士五湖の1つである河口湖には、1m間隔で釣り人が立ち並ぶのは日常茶飯事。

今思うと、あの光景は異様であり”異常”な現象だったと思う。

芸能人、大人・子ども関係なく、多くの人たちが「バスフィッシング」にのめり込んでいたあの頃。

ある1つのルアーが異様なほど注目を集めていた。

メガバス「ポップX」である。

メガバスブーム全盛期の「POP-X」

メガバス「POP-X」。

当時のポッパーの主流だった、”捕食音系ポッパー”とは逆をいくような作りが特徴のルアー。

ポップXが発売された時代は、ポッパーというと「ボコン、ポコン!」みたいな捕食系サウンドが主流だった。

しかし、ポップXの控えめすぎるとも感じさせるサウンドは、多くのアングラーに大きな衝撃を与えた。

ポッパーとは一線を画すとも言える、超控えめな音。

「チュパッ…チャップッ…」といった感じで、官能的で艶かしいサウンドを奏でるような作りになっている。

最近の言葉で言うと、「水押し・波動は弱めで、”食わせる”力が強いルアー」といったところだろうか。

クワセ系ルアーの部類に入るルアーだが、当時はそれほどライトリグが主流ではなかったため、ポップXのような弱い系ルアーはバス達と釣り人を大量水揚げした。

「ワームより釣れる」

「エサレベルで釣れる」

「人間も釣れる」

なんていう噂が瞬く間に広がり、店頭からあっという間に姿を消し、プレミア価格で取引されるようになっていった。

今はそれほど注目を浴びなくなってきたメガバスルアー。

バスブームの頃は、犯罪さえ起こしてしまうほどの異常な人気っぷりだった。

メガバスブーム到来。転売、闇取引、カツアゲが多発した

ポップXの人気とともに、メガバス社の大半のルアーが入手困難となり、空前のメガバスブームが到来。

バスフィッシングブーム&メガバスルアーブームが巻き起こった。これが大体1995年〜2000年くらいの話…だったかな。

確か「どチャート」や「〇〇ホットタイガー」みたいなレアカラーは、1個¥5,000〜¥10,000くらいで取引されていたと記憶している。

「どチャート(マット塗装のチャートカラー)」は¥12,000くらいあったかも。

近年はレイドジャパンの「ダッジ」も品薄で人気だが、正直、当時のメガバスブームに比べると、(価格的には)月とスッポン、である。

●ヤンキーから”カツアゲ”された記憶

当時、中学生だった僕は、運良くゲットしたドッグXやらX-55なんかをタックルボックスに入れていたのが災いして、わけのわからないヤンキー達に「ねぇキミ、そのルアーと俺のルアーを交換しようよ♪」などとカツアゲされたこともあった。

カツアゲ後は、相手の素性もわからなかったから泣き寝入り。

今もその現場(野池)には足を運ぶが、間違いなく断言できるのは「今のオレは、お前らより100倍上手くなったぞ」という執念(怨念とも言う)の一言である。

●まぁまぁヤバめの事件?もあったり

メガバス狩り・カツアゲ以外にも、事件性のありそうな出来事も起きていた。

他人の車の席に置いてあったメガバスルアーをパクろうと、窓をこじ開けてルアーをパクッていたヤツもいたりで、”メガバス犯罪”みたいな現象も珍しくはなかった。

また、ルアーショップでは馴染みの客だけに取り置きする闇取引も流行。

ルアーショップの店員さんと仲良くならなければ、メガバスルアーを購入することが出来ない…という謎のシステムは、金のない中学生だった僕にとっては、立ち入ることができない聖域、もとい「悪魔城」であった。

さらに、転売も横行。

転売は今でこそ当たり前の現象となっているが、当時はそれほど転売ヤーが存在しなかったため、カネのある大人たちはプレミア価格でメガバスルアーを購入していた(と思う)。

カネがない人たちは、ショップに通い込んで、運良く店頭に並んだタイミングで購入するか、抽選で購入権利を当てるしかメガバスルアーを手に入れることができなかったのだ。

カツアゲ、パクり、転売…などなど、メガバス人気は、人間達を欲望のどん底まで陥れることもあった。

こんな衝撃を体験したおっさんアングラーの僕は、鬼滅の刃程度のブームにはピクリともしないのだ。

家族総出でルアーショップに並んだ思い出

メガバス社の赤いカタログを目に焼き付けるように眺めていた、あの頃。

今でこそ楽勝で入手できるようになった(なってしまった?)ポップxだが、当時は入手することすら困難だった。

カネもない、コネもない、ヤンキーを倒す力もなかった、あの頃の僕。

そんな僕が唯一メガバスルアーを買えた方法は、「ルアーショップのオープン当日に家族で並ぶ」というものだった。

2000年ごろ、家族総出でルアーショップ(ポイント鳥取店)に並び、家族分だけメガバスルアーを購入したこともあった。

上の写真は、今は亡き祖父が買ってくれた2000年POP-X。

じいちゃん、ありがとう。

この記載を見る度に、当時の記憶と映像が脳裏に映る。

こちらも2000年ポップX。これも家族で並んで購入した…んだったかな?

記憶が曖昧だが、確かめちゃくちゃ苦労して入手したと記憶している。

「ネオンコアファントム」だったか「GPファントム」だったか…忘れてしまったが、上記の2種は、祖父が漕いでくれたレンタルボートに乗っているときのみ使用していた。

今はほとんど形見同然となってしまったため、”殿堂入りボックス”に眠らせてある。

たまに眺めて思い出に浸る。

当時、一番欲しかったオイカワカラー。コチラも2000年ポップX。

この個体はこの間タックルベリーで発見し、リアクションバイトしてしまった。

年代記載があるメガバスルアーは、なんか買ってしまう。

ガキの頃に買えなかった反動だろうか。

年代モノのメガバスルアーは、コレクション性があって面白いよね。

実際の釣果はというと…

実際に入手して使ってみて思ったのは、

思ったほど釣れねぇな

といもの。

いや、正確に言うと「出すべきときに出せば、普通に釣れるルアー」になるのだが…

当時の爆発的ブームの影響で、自分の中でハードルが上がっていたということもあり、「言うほど釣れねぇじゃん」と感じることも。

「苦労して購入したわりには、メディアで紹介されているほど釣れないじゃん…」と、メディアマジックのカラクリに気付いていなかった当時の僕は、凹んだりすることもあった。

メガバスのポップXは、釣果自体は普通で、

人を釣る能力がズバ抜けて高い

というルアーだ、とオッさんになってから気づくという…。

まとめ:メガバス「POP-X」は、メガバスブームとバスブームを想起させる。懐古厨にはマストなアイテム

メガバス「ポップX」について、個人的な体験談を語ってみた。

このルアーを眺めていると、バスブームやメガバスブームや、カツアゲ・転売とかの思い出が蘇ってくる。

最近はほとんど投げることはなくなったルアーだが、やっぱり買っちゃうんですよね。

デザインが良いし、思い出補正もあるし。

コレクターズアイテムとして、これからもちょいちょい買っていこうかな。